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新エネルギー展示会

2009年06月29日 14:30

ソーラー発電について

先週、幕張メッセで新エネルギーについての展示会と国際フォーラムが三日間に渡って開催された。
現在工事中の住宅に、ソーラー発電を設置するのと、8年前に足立区で建てた住宅にソーラーを設置するので、参考のためにソーラー発電の最新技術を見学に行った。

 新エネルギーは、太陽電池だけでなく、風力、水力、バイオ(微生物の働きを利用するエネルギー)など、世界中の最先端技術の取り組みが紹介されていた。これからは、地球温暖化の事を考えて、再生可能な自然エネルギーを利用しなければならない。技術も進歩し、コストも経済的になって個人の利用も可能になってきた。

 最近、環境への意識は、経済に優先すると考える人が多くなって来たと感じる。ソーラー発電については、今年の一月から、国の補助金が復活して、それが後押しするように三月までに、23、000件の申し込みがあったそうだ。数年前まで日本が、ソーラー発電のシェアーの半分を占めていたのに最近では、ドイツに先を越される様になった。やはり国の政策の差が影響しているようだ。

 ここにきて、政府もあわてて補助金の復活を決めたようだが何もしないより良いことだ。今回の補正予算のばらまきには、あきれるが、将来を見越した有効な金の使い方はないのか、ホトホト呆れてしまう。

 例えば、ソーラー発電の費用について、住宅では、一日、4キロワットが一番効率的だ。工事費は、1キロワット当たり約60万円、国の補助が1キロワット当たり7万円、東京の足立区ではそれに加算して、東京都の補助金がキロ10万円、足立区の補助金がキロ10万円加算される。これを比較すると以下に国の補助金がお粗末か分かる。

 あなたの住んでるところでは補助金があるか調べてみると良い。ちなみに、我が、八千代市では補助金はありません。このように補助金が使えるところでは、工事費は、半分近くで出来ることになります。

 補助金の話はこれくらいにして、新エネルギーに話を戻すと。世界的な規模でエネルギー利用が進んでいることに驚かされる。たとえば、アフリカのサハラ砂漠で太陽光を利用して発電をした電気を、ヨーロッパに送電して、電気を売るプロジェクトが現在進行している。開発地域の地理的状況を利用すると、新たなエネルギーの輸出国になって貧困の解消にも役立って、一石二鳥となるのも夢でない。

 日本の様に周囲を海に囲まれた国では、波動エネルギーの利用も研究されている。今回の展示で興味深かったのは、海の上に浮かべる風力発電の装置が面白い。簡単に言うと浮き袋の上に風車を立てた光景を思い浮かべてみると想像がつくと思う。これであれば土地の買収費もいらないし、季節によっては最適な場所に移動できる。

 いずれ石化エネルギーは枯渇する。原子力エネルギーも、処理に莫大な費用と時間がかかる。地球全体から見ると自然エネルギーの利用が、トータルでは経済的なことは明らかだ。何か先進国特に、アメリカやロシアの思惑でエネルギー資源の問題が語られているようで仕方がない。

 ドイツ、や日本のように資源を持たないが優れ技術を持つ国か、積極的に提携して、世界をリードする時が来ていると思う。技術で世界に貢献することで、若者が夢持てる政策を、国民自らが考えることが大切だ。今の政治屋や官僚に任せておくと、日本の将来が危ういのは、現在の政治状況を見ていると良く分かるはずだ。「国破れて山河あり」残るは、自分のことしか考えない役人と利権漁りをしている政治屋だけと言う笑えない状況だけは御免被りたい。

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受付は大盛況。15分待ちで登録を済ませる。
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会場風景。
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ドイツのブースは、大きく、洗練されていて、国の力の入れようが分かる。



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ツーバイ工法住宅の増改築工事

2009年06月16日 15:42

増改築工事は可能か?

 ツーバイ工法の家は、増改築が難しいと言う話をよく聞きますが、本当にこの工法を理解していると、これは全く根拠のない話で、ツーバイ工法を知らない人の話だと思う。ツーバイ工法について、歴史と工法の特徴を、掻い摘んで説明したい。

 アメリカでは、普通に木造住宅の大半がこの工法で建てられている。ヨーロッパからアメリカに移民を始めた初期のころ、大工さんがいなくても、皆で建てられる工法として考えられた。アーリーアメリカンと呼ばれる建物は、長方形の白い南京下見板の外壁に、整然とみどりの窓の並んだ建物だった。

 このころは、地面の上で二階までの開口部のついた壁を造り、皆で力を合わせて、ロープで引き起こして、一面ずつの壁を建て起こしたので、非常にシンプルな長方形の家になった。これを、バルーン工法と呼ぶ。バルーンとはアド、アバルーンから分かるようにつりさげる意味がある。

 時代は過ぎて第二次大戦後、現在のツーバイ工法の建て方になった。これは、一階の床を造って、その上で壁を造って建て起こす。まるで舞台の大道具を造るようにして組み立てる。二階、三階と同じ作業を繰り返すことで高い建物が足場なしで建てることが出来る。アメリカ、カナダでは、木造の四階、五階建のアパートも珍しくない。

 しかし、アメリカではツーバイ工法と呼ばれずに、工法の特徴である床のことをプラットホームと呼び、プラットホーム工法と呼ぶ。なぜ日本でツーバイ工法と呼ばれるかと言うと、一番多く使われ部材の断面が2インチx4インチの断面を持つ(正確にはインチと実断面は異なっていて、40mmx90mm)どうも手の平に入る寸法として変化したようだ。

 アメリカで現場の大工さんを見ると皆、大男で丸太のような腕で軽々と材木を扱っている。ツーバイ工法は、壁を造るのに合板を釘で止める。その他の部材もほとんど釘と金物で止める。これが地震に強い壁構造の家になっている。同じ間取りで造ると、在来工法に比較して1,5倍以上の耐力がある。気密性も高く断熱性に優れている。

 しかし、工事途中は、大道具を造っているような工法の為に、初期のころは、在来工法と比較して馴染みが少ないので評判はもう一つだったが、日本で正式にこの工法が認められて、35年以上過ぎ、年間10万棟近い建物がこの工法で建てられているので、一般に認知されたと言って良い。

 さて、本題のツーバイ工法は、増改築が可能かと言う質問に対して、構造上適切に補強すれば、在来工法以上に簡単ともいえる。それは、大きな梁のような部材を使用しなくても増改築が可能なので、むしろ在来工法の増改築にも応用できる。

実際に、ツーバイ工法の住宅で増改築した時の、工事写真で様子が解ると思うので添付します。
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玄関吹き抜けに、書斎を増築する。

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北側から見た増築前の外観。2階の欠けている部分に部屋を増築する。
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増築部分をツーバイ材で小屋組み。

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ツーバイ工法による増改築の小屋組み。
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玄関の吹き抜けに書斎を増築した完成写真。
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北側の二階増築後の完成写真。
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玄関側から見た完成写真。

築70年の家

2009年06月07日 12:39

築70年の家

 約70年前に茅葺の平屋建てとして、建てられた家を40年程前に現在の場所に移築した。最近、屋根の状態が良くないので見て欲しいとの相談を受けて現場調査を行った。屋根は、スレート葺き(コロニアル葺き)と言って、一般によく見かける屋根だ。コロニアルの屋根は、厚さ6mm位の石綿スレートで出来ていて20年位すると、劣化が進んで屋根に上がると割れやすくなっていて塗装も出来なくる。

 この家は、幸い屋根下地や軒裏は、一部補強をすれば大丈夫な状態だった。昔の建物は、軒裏の「たるき」と呼ばれる部材が露出していて、これが外気と触れることで傷みが少なかった。最近の建物は、軒裏が張られていて綺麗なのだが、内部の痛みが見えない。外壁も土壁の上に木目模様の鉄板が張られていて、これも土壁との間で通気が出来て、柱の状態も良かった。問題は床下地なのだが、地面と床の高さが十分取れていて、通気の状態も良くて床根太の状態も良かった。

 昔の家は隙間風が入って断熱状態は良くないのだが、建物にとっては、呼吸が出来て建物が長生きできる。最近の建物は断熱や気密のことばかりにとらわれて、本質を見失っているように思う。気密性を追及することで、室内の空気の汚染を忘れている。それを避ける為に、室内換気用の通気口を各部屋に義務付けているのだが、暖房や冷房の効率が下がるので誰も通気口を開けたりしない。

 それどころか、何のためについているのか業者が、十分な説明をしないので、使用方法さえ知らない人が沢山いる。全く、法律は、問題が起きるたびに、色んなものを追加するのだが、これは消費者の負担になっていることを説明すらしない。それどころか、現状に合わないことも一度、法律で決めると誰も見直しをしようとしない。

 それに比べて、築70年のこの家は、手を加えることで100年も快適に住むことは十分可能だ。今回、屋根は既存のままにして改装することで、廃材を出さなくて環境にも良い。従って、既存の屋根の上からガルバニューム鋼板で重ねて葺くことにした。この素材は、アルミの合金で塩害にも強くて錆が出ない。カラーで色々な色があるのだが、素材のままのジュラルミンのカラーを選択した。

 この屋根は、葺き上がると雪が積もったように白く見えるのだが、これは、太陽光を反射して、小屋裏の温度上昇を抑えることができ省エネにもなる。今回の工事では、リビングに開口が無かったので西側に、出窓を追加した。これによって明るさと、通風を確保できて居心地が良くなった。床も少し傷んでいたので既存の床の仕上げの上に、明るいカラーのフローリングを貼った。これで部屋が明るくなって新築のようになった。

 改装する時に、既存の状態を十分に調査して、生かせるものは捨てないで下地として生かすことが大切だ。このことで無駄なゴミを出さなくて済むことになる。また、開口部の位置や大きさは、快適に過ごすためにとても大切な役割があるので、間取りを見て必要な個所には、開口部を追加する。昔の家は、暖房を考えて開口部を必要最小限に抑えている場合が多い。適切な位置に開口部を設けることで、明るさや通風を確保できて、冷暖房費を抑えることが出来、省エネにも貢献できる。

 昔の家で階段が、家の中央に在って明かりが入らなくて暗い場合がある。これは、階段での落下事故にもつながりやすい。電動開閉式のトップライトがあるので屋根に設置すると、明かりと通風が同時に採れて、一気に問題を解決することが出来る。家の改装や増築を考える場合には、将来を見据えて、少ない費用で効率の良い解決策もあるので、近くの業者や専門家に相談してみると良いと思う。
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屋根改装工事準備、足場を組む。既存の屋根は、コロニアル葺き。
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裏側の屋根。
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裏側に保温材が裏付されている。
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新しく葺き終えた屋根の正面。ガルバニューム鋼板葺き。
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新しくなった裏側の屋根
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キシラデコール(防腐剤)で塗装した軒裏、外気に触れている事で保存を良くする。
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床は、既存の上に新しいフローリングを張って、見違えるように明るくなった。