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新和風住宅の庭

2009年11月09日 18:04

緑が丘の家
 
 8月に建物が完成して外構工事を始めるには、時期が悪かったので9月から10月にずらした。外構工事のポイントは、道路から玄関までをどう見せるかが大切だ。設計を始める前に、道路から玄関までの距離を考慮して、玄関の位置を決める。道路からの距離によってその家の顔ともいえる玄関をどう見せるか、毎日の出入りのことも考慮しなければならない。

 今回の家の配置は、敷地が三角形と言うこともあって工夫が必要だった。敷地の南側の長辺が道路で、間口がとても広く取れるので、それに見合うように玄関の間口を広く取った。今回の計画では、玄関までの距離はある程度取れるのだが、玄関が道路に正対してしまう。そこでアプローチが直線的にならないように、門扉と玄関の位置をずらして正面に格子とシャラの株立ちを植えて、目線を受け止めるようにした。

 足もとにはガーデンライトを設置し下草と花でアクセントとし、夜の明かりで雰囲気が変わるようにした。アプローチの床仕上げは、建物を意識して、少し和風の感じを出すために、小石の洗い出し平板を敷き詰めた中に、白御影石で飛び石のようにした。車椅子の使用も考えて階段の脇にスロープを設置した。スロープの先に和室の庭があるので、境界と手すりを兼ねて低い竹の垣根を設けた。

 和室の前の庭は、敷地の形状で三角形の庭が出来るので、そこに川の流れを伊勢のゴロタ石で表現した。あまり本格的な和風の庭にならないように、洋風の樹木で植栽をするように心がけた。門扉との脇の庭に花ミズキを植える予定だが時期が悪いので来春に移植することにした。

 造園は建物と違い、手入れをすることで年と共に成長して行く楽しみがある。お施主さんによく言うのは、敷地は器であり、建物は料理、植栽は盛り付け、料理がおいしく見えるのも盛り付けや、器に左右されるのでとても大切だと話をする。造園はそれぞれの庭の広さと住まい方に合わせて自分で工夫する楽しみがあるので、建物の設計と同じ位、大切にしてもらいたいと思う。

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道路から見た門扉。道路は三角形の敷地と長辺が斜めに接している。
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アプローチの床仕上げは、小石の平板に白御影石で変化を付けている。
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アプローチ脇に設けた車いす対応のスロープ。
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門から入った正面に目隠しの格子とシャラの株立ち。
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格子の前は、ガーデンライトと下草、石で変化を付ける。夜には明りに照らされて美しい。
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格子の後ろにも小さな庭を造って、楽しめるようにした。
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アプローチ脇の手すりを兼ねた竹垣。勾配をつけて圧迫感を無くして低く見えるようにした。
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白御影石で川の流れに沿った小道をイメージした。


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第57回全日本剣道選手権

2009年11月04日 16:55

観戦雑記

 毎年11月3日、文化の日は、剣道日本一を決める選手権で、全国で剣道をする人たちが、TVの前で固唾を飲んで見守る大会だ。また、剣道の試合をNHKで放送するのもこの日ぐらいだろう。NHKには、日頃から受信料も払い、一番良く見るTV局もNHKなのだが、もう少し剣道を取り上げてくれたら良いのにと思っている。

 ところが、今年、八月にブラジルで剣道の世界選手権が行われて、前回の雪辱を果たして優勝することが出来た。NHKは、9月に、前回の世界大会で敗北し、今回出場した神奈川県警の高鍋選手にスッポットライトを当てた特集番組を放送することになった。しかし、放送予定日にマリナーズ、イチローが、9年連続200本安打を達成して、急遽、番組を変更してイチローの放送になって、2週遅れで放送された。

 まあ、野球に比べれば仕方ないだろうと諦めざるを得ない。それと、TBSだったと思うが、世界選手権代表で大将を務めた大阪府警の寺本選手の世界選手権の模様をドキュメントで放送した。これが思わぬところに波紋を起こすことになった。昨日は、午前中仕事があったので午後から日本武道館に出かけた。

 二時前に着いたのだが、一般自由席は完売。一階席とアリーナ席のみでそれも、残りわずかとの案内を聞いて、長蛇の列に並ぶか、諦めて帰って四時からのTVを見るか少し迷ったのだが、ここまで来て帰るのもシャクだと思い直して列の最後尾並んだ。その後も次々と人が並ぶので、もしかしてと期待を寄せながらも、目の前で売り切れたらどうするのか不安も過る。30分程並んで幸いにもチケットを手にすることが出来た。会場に入るとほぼ満席、女性や子供達の姿が目立つ。いつもと少し様子が違う。こんな所にもTVの力を思い知らされる。
 
 この大会に出場できる選手は、前年度の覇者と、各都道府県の予選を勝ち上がった64名の選手で日本一が争われる。選手は20代半ばから30代半ばの運動能力、技術が充実した人が代表として出場している。剣道は柔道と違って、力に頼る部分が比較的少なくて、とっさの判断や俊敏性、そして相手の心を読む力が大切だ。

 過去には、30代前半から半ばが、一番充実しているといわれていたのだが、最近では若年化の傾向にある。従って、どの試合も年齢に関係ない白熱した戦いが繰り広げられ、紙一重で勝敗が分かれる。席に着くと3回戦が始まっていて、千葉の代表、染谷選手43歳と東京代表、内村選手29歳の試合が始まった。染谷選手は、今大会最年長で選手としてのピークは過ぎていると思われるのだが、千葉の予選で優勝して代表として出場し、今大会も一、二回戦を勝ち上がってきた。

 身びいきのようだが、日ごろ千葉県警で、稽古させてもらっている身としては、自然と染谷選手の応援に力が入ってしまう。延長の末、小手を取られて負けたのだが、立派な試合態度で、他の若い選手の模範になるような試合だった。結果は、内村選手が決勝まで勝ち上がり、同じ東京代表、高橋選手、二人とも警視庁で同期の対決となり内村選手が二度目の優勝を手にした。

 どの試合も目にも留まらぬ早い技の応酬だった。見ている私も、これが一本かなと思うことがある。一般の人から見ると当たっているのに一本にならず、不思議に思うことだろう。剣道の一本は、「気、剣、体」の一致と言って、この三つが一緒になった時に一本になる。

 そして、この一本を目指して日頃の稽古に励んでいるのだが、「言うは易し、行うは難し」でとても難しい。日頃から、審判として試合を見る目を養っておくことも大切だ。TVで試合の結果を見ると、どちらかと迷う判断でも、スロービデオで見ると正しく判定されていて、審判の目の確かさに敬服させられることが多々ある。長年の修行を積むと、人に見えないことも見えるようになるのだろう。一生掛かっても無理かも知れないが、少しでも近づきたいと思って日頃の修練の励みにしている。
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決勝戦前の会場風景
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決勝戦開始。手前赤、内村選手。奥の方、高橋選手。