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FMとは?

2011年02月12日 14:09

 FMとは、「人、物、金」を効率よく、効果的に働かせる手法である。これは、私が勝手に定義しただけで詳しくは、JAFMのホームページを参照されたい。FMをもう少し丁寧に説明すると、ファシリティマネジメンの略で約25年前にアメリカから導入された考え方で、建物等の資産を科学的.合理的に管理し、建物を長持ちさせ、効率よく運用して経営に役立てようとする手法です。

 JFMAは社団法人.「日本ファシリティマネジメント推進協会」の略で国土交通省の外郭団体です。一昨年の民主党による事業仕訳以後、色々な独立法人や社団法人は、やたらと横文字の長い名前に変えて、まるでカメレオンのように中身は変わらないのに外側だけ変えて、世間の風当たりを避けようとしているようです。しかし、その中でこの団体は良くやっていると思います。

 毎年この時期、昨年一年間、各分科会で研究してきた事を発表すると同時に、FMを実践してきた企業や自治体の中で優秀と思われる団体を表彰し、その実績を発表する場を設けている。2月8,9日と都営新宿線の船堀駅前の「タワーホール船堀」で「第5回日本ファシリティマネジメント大会」が開催された。初日は、基調講演に始まり55の分科会に分かれ、2日間で約2500名の人が全国から参加して盛大に行われた。
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会場の「タワーホール船堀」正式には、「江戸川区勤労福祉会館」江戸川区の施設として、映画館、結婚式場、コンベンションホールを持つ複合建築物
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駅前の建物でふつうに見えるのになぜか「タワーホール」空を見上げて謎が解けた。ビルの屋上からタワーが伸びていた。調べると平成11年完成、タワーの高さは、115m、最上部は無料の展望台として一般に開放されていて、展望台から関東平野が一望できる。
 
 今回、私は、関心のある分科会を事前にピックアップして2日間ホーラムに参加した。今日は1,2の事例を挙げて簡単に紹介したいと思う。分科会は、ICT(通信.情報の技術)先端の使用事例から、財務の国際会計、建物の維持管理の手法、実例など多岐に渡る中で、自分の仕事に関係するLCP(建物の維持管理を計画的に行う)分科会やCAFM(コンピューターを使用した図面や建物の維持管理の手法)等の分科会と今回優秀賞を受賞した実例の発表会に参加した。
 
 企業の中で、FMを有効に活用した例として、今回、優秀賞を受賞した親和銀行の取り組みを簡単に紹介したい。タイトルは「親和銀行における保有施設のFM.CMサイクルモデルの実践について」。親和銀行は、長崎の佐世保に本店を置く地方銀行の一つで、県下に約100店舗の支店を保有する全国的に見て中堅の銀行である。

 建築の関係者には、その本店が40年程前に、白井晟一と言う日本を代表する建築家によって設計された有名な建築として知られている。店舗の中には、竣工後30年以上を経過したものが多く、近年、老朽化した店舗が、増加する一方で、建物の保全や維持管理について、問題が起きるとその場しのぎで対応せざるを得ない状況が続いていた。

 施設の運営、管理について対応出来る人材も不足しているのも問題があり、さらに平成19年「ふくおかファイナンシャルグループ」との経営統合によるグループ企業としての店舗デザイン、内装仕様の統一に取り組む必要があった。同時に、従来の施設管理の見直しに迫られていた。

 具体的には、NTTファシリティ-ズに依頼して、最初に現在の保有施設の現状を調査して施設の問題点を洗い出した。人間で例えると人間ドッグに入って診断書を造るのと同じだ。それに基づいて中、長期の修繕計画を立てる。これによって、今まで各支店で工事を発注していていたのを、本店で一括管理し、計画的に補修することで、工事の仕様の統一や、工事費がバラバラであったのを適正に行えるようになった。
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FM導入の背景
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業務委託につて
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業務サイクルについて
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FMのメリットについて


 これによって年間の補修にかかる費用を計画的、効果的に使用する事で、コストの無駄も省けるようになった。それまでの店舗は、平均30年で建て替えていたのが、長期補修計画を立てることによって建物の寿命を延ばすことが出来るようになった。これは、省エネに貢献するとともに、地球規模でCO2の削減にも貢献することができる。これからの企業にとって大切な問題の解決のヒントになるだろう。

 今回、親和銀行は、このようにFMの手法を生かした、効果的な実例として紹介された。これは、事務所、工場等のあらゆる施設に適用が出来るので、FMの手法は、これからますます注目されるようになる。次いで、公共のFM活用で、優秀賞を受賞した、佐倉市の例を紹介します。

 佐倉市は、私が住む隣の市で人口や財政規模も似た市ですが、少し違うのは、我が市は、近年、マンションや建売住宅の建設が旺盛で、若年層の人口の増加傾向にある。一方、佐倉市は人口の増加がそれ程でもなく、少子高齢化が進んでいて、財政の見直しも緊急の課題である。(もちろん我が市も同様であるのだが)。

 平成19年4月、市長選で現市長の蕨市長が初当選して直ぐに、FM手法を導入して市の施設の全面洗い直しを指示した。親和銀行と同様に、最初に市の全保有施設の規模、建築年度を正確に把握することから初めた。この取り組みの動機と目的について、蕨市長から約15分説明があった。今回のサブタイトル「いま目の前にあるFMから始めよう」について説明があった。
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小ホール会場風景
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佐倉市、蕨市長の説明。自信を持って堂々と誇らしげに説明している姿が印象的だった。
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現状の把握
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今後の施設管理について図式化して解かりやすくする
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FMの概念の説明
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FMの目的を明示

 市長になって改めて痛感した事は、役所の組織は、縦割りの組織で横の連携がうまく取れていないこと、そして、何か始めようとすると、最初に会議があり、事前の協議に時間が割かれて、なかなか実行に移せない事が問題であると考えた。そこで先のタイトル、まず目の前の出来ることから始めて、問題はそのたびに解決していこうと言う姿勢と、市長がトップダウンで指示した事に市長自ら全ての責任を取るとして市の職員に宣言した事である。

 その後の具体的な内容と効果については、担当室長の増沢氏からプレゼンテーションがあった。内容について興味のある方は、佐倉市のホームページ「資産管理室」を参照して頂きたい。その日の小ホールの定員は250名なのだか、全国の自治体の幹部や、担当者と思われる人たちで満席あった。

 プレゼンの参加者が、熱心に聴きいっていた事、プレゼン後の質問で、横須賀市や宮城県の担当者から具体的な質問が出たときに、増沢氏が、ユーモアと自信を持って回答していた事がとても印象に残った。トップが明確な指示を出し、責任の所在を明確にすると、職員も責任を持って、次々とアイデアを出し、生き生きと仕事に取り組めるのだろう。

 その成果は、一朝一夕に答えは出ないだろうが、大きな船の舵取りが、船長の指示で出されてゆっくり航路を変えるように、自治体の行く先も、首長の適切な指示で変えられる事が良く理解できた。そして、今回知ったのだが、公共FMの会があって、全国で約70の自治体が参加していて、今後ますます参加団体が増える事が予想される。その中に佐倉市はもちろん、隣の市の四街道市や千葉県も参加している。四街道市は、佐倉市の運営を参考に勉強しているようで、我が市も良いものは、参考にしてもらいたいと思った。
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ふるさと再生計画

2011年02月01日 15:52

 今年も年が明けて、早くも1か月が過ぎた。遅ればせながら「明けましておめでとうございます」何故か、年を重ねるたびに時間の過ぎるのを早く感じるのは、私だけだろうか。昨年は年男で、仕事も順調で身の回りも良いことがあったように思う。年始めに、干支に願いを懸けるのも年のせいだろうか。

 年を重ねるとともに神仏が近くなったような気がする。それは、自分の力だけではどうすることも出来ないことがあることを知るからだろうか、そして、人のお陰で生かされている事を知ったからだろうか。

 昨年の暮れに風邪を引いて、この正月は、妻の実家で本当に寝正月になってしまった。正月三日、少し体調も良くなったので、多田神社に一人で初詣に行った。おみくじを引くと今年は自重するようにとのお告げ。うさぎ年に掛けて新たな飛躍を目論んでいたのに、正月から風邪をひいて散々な出だしとなってしまったのもこのお告げなのか、と言うのも昨年十月に歓迎しない客が、十年ぶりに税務調査で来訪してくれた。

 知人からは儲かっているのだろうと冷やかされたのだが、三十年近く個人で設計事務所をしていたのだが、この数年知人から頼まれて設計と工事も請け負うことが多くなって、設計事務所にしては売り上げが多いと目をつけられたようだ。

 税務調査の結果、一昨年の売り上げの中で見解の相違があって少し追徴されて終わった。税理士の先生がこの際、会社にしたらどうかと言うので、株式会社の手続きと同時に建設業の許可も取ることにした。これは二月に許可が出そうだ、と言うわけで、新しい年に、秘かな飛躍を目論んでいたのだが、あまり背伸びをせづにぼつぼつと行くことにしようと思う。

 話は変わって、昨年の暮れから知人の実家の改装工事の設計をしている。十年前に一人住まいをしていた母上を千葉で預かったいたのだが一昨年に亡くなられた。その後、福島の実家をそのままにしていたのだが、子供達もそれぞれ結婚して、孫が生まれ幼稚園に行く年頃になったので、ふるさとの良さを教えてあげたいと実家を改装することになった。

 計画もほぼまとまり地元の工務店から見積もりも取って大体まとまったので、打ち合わせと荷物の片付けを兼ねて、知人の家族と一緒に、先週の土曜日から一泊で現地へ行って来た。土曜の日中は業者との打ち合わせを兼ねて見えない天井裏を確認する為に天井の解体作業、それと並行して荷物の片付けと一部庭木の伐採をして丸一日掛かった。
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建物は、里山と田んぼに囲まれた、「ふるさと」と言う言葉がぴったりのローケーションだ。
「うさぎ追いしかの山、こぶな釣しかの川」と言う童謡が口をついて出そうだ。
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田んぼから一段上がった敷地に建物はある。南側の松の木は手入をしていなかったので大きく枝を広げて庭からの景色を遮っていたので、ご主人が伐採した。
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庭の前には田んぼと里山が見える。田植えの時には、田んぼに水が張られ、青々とした早苗。秋には黄金色の稲穂が目を楽しませてくれるのだろう。
 福島のいわきは、黒潮のお陰で割に温暖で雪もほとんど降らない。当日は、東北一帯で豪雪で交通マヒとのニュースをTVで見たが、ここは別世界だった。
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天井をはがすと、煤で黒くなった梁が表れて出てきた。これを生かして囲炉裏のあった部屋にしようと思う。地元の大工さんは、何も珍しくないと言った顔つきで平らに天井を張りましょと言うのを時間を掛けて説得して了解をしてもらった。

 夜は、小名浜の海の見えるホテルを予約してくれていて、この季節のアンコウ鍋と地魚の刺身を堪能した。翌朝は、小名浜漁港の「いわき.ら.ら.ミュウ」観光物産センターで買い物を楽しんだ。南国育ちの私には見たこともない珍しい魚が沢山並べらて目を楽しませてくれる。

 特に「めひかり」と言う魚は地元でも高級魚として珍重されているそうだが。姿はメザシ程の大きさで体にトラ模様がある。名前の由来は目が光っているとこから来たそうだが、100メーター位の深さの海で取れる深海魚だそうだ。そこで、生の「めひかり」と干したのを買った。自宅に帰って干魚は焼いて、生は、頭を取って唐上げで食べたのだが、評判は裏切らなっかった。白身の魚で脂はのっているのだが意外とさっぱりしていて、甘くておいしかった。

 福島は、海の沖合で南からの黒潮と北からの親潮がぶつかる「潮目の海」と呼ばれて季節によって、さんま、まぐろ、カツオやその他に豊富な種類の地魚が獲れる海産物の宝庫なのだ。四月の工事が完成するまで何度か来なければいけないが、買い物と言う楽しみが一つ増えた。