2009年10月31日 21:38

紅葉狩り
会津磐梯山は、紅葉で今が見ごろ。先週末、施主で友人の夫妻と年一度の恒例の旅行に会津に行ってきた。毎年、交互に旅行の計画を立てることになっていて、今年は、友人が旅行先と宿泊の手配をする。紅葉の季節と言うことで、福島の旅行を計画し、会津若松の湯野上温泉に旅館を取ってくれた。私の仕事の都合で、金曜日に宿泊することにした。川沿いに建つ藤龍館、17室と小ぶりで全室満員なのに宿泊客の姿を見ることもなく、風呂に入っても数人と静かだった。
食事は、客室に運ばれて来るのだが、接客に現れたのは、旅館の法被を着た若い男性だった。少し訛りがあるが、丁寧な説明に好感が持てる。食事は、食前酒、前菜から始まって、懐石料理が食事の段階ごとに温かい状態で運ばれてくる。地元の食材を使って、見た目も味も上品で美味しかった。盛り付けの器も季節感があって、料理の季節感とマッチして目でも楽しませてくれる。
和食の素晴らしいところは、素材を生かしながら季節感を盛りこんで、目で見せながら繊細な味を舌で味わうことが出来るところだと思う。そこには、板前さんの料理に対する思い入れと、創意工夫があり、腕の見せ所でもある。有田焼を商っている友人がいるのだが、出てくる器はどこかで見た事があるので聞いてみると、女将が、有田焼が好きでオリジナルなデザインで注文をしているそうだ。
友人の店も有田にあって、300年以上の歴史を持つ由緒ある店だが、埼玉の上尾に支店を出すまでは、毎月、関東の得意先の旅館やホテルにサンプルを持って御用聞きに歩くのだ。そこで、女将さんや、板前さんから注文を聞いてオリジナルなデザインの器を作る。待っていても注文は来ないし、注文が無くても定期的に注文を取りに行かないと、業者を変えられると言う話を聞いて、どの仕事も厳しいことを知った。
そんなこともあって、旅館や、ホテルに泊まると、出てくる食事はもちろんだが器がとても気になる。旅館に着いた日は、少し時間にゆとりがあったので、大内宿と言う昔の宿場町を模した茅葺の並ぶ観光地に寄った。県道から少し入った所に造られたお土産物店が、広い道路の両サイドに並んで昔の風情を感じるには少し情緒に欠ける感じはしたが、平日とは言え観光バスが並んで道路は、観光客で溢れていた。
翌日は、友人の車で、会津若松、鶴ヶ城を訪れた。お城の改装50周年とNHKの大河ドラマ「天、地、人」で話題になっている上杉家の居城であったこともあり、お城の中では、色々な展示がされていた。鶴ヶ城と言うとどうしても、幕末の薩摩との戦で犠牲になった白虎隊の悲劇が思い出される。先年、鹿児島の市長と会津の市長が100数年ぶりに握手したのがニュースになったほどで、部外者には解らない歴史上の怨念があるのだろうと思う。
午後には紅葉の盛りの磐梯山を目指した。遠くから眺める磐梯山は、曇り空の下に、薄く靄がかかったように水色に見える。山に近づくと紅葉が目立つようになり、ドライブウエーを車で登につれ、赤く色づいたカエデや黄色のクヌギの葉が目に鮮やかに飛び込んでくる。裏磐梯の五色沼に着く。来て見て解ったのだが、猪苗代湖のある方を表とすると磐梯山の裏側に位置するので裏磐梯と呼ばれるのだろう。
五色沼は、磐梯山の噴火により堰き止められて出来た沼で、大小幾つかの沼でそれぞれの特徴を表して名付けられている。上流からの清流を受けて一番下の弁天沼が一番大きい。そこを出発点として、各沼はハイキングコースで繋がっていて、景色を見ながらゆっくりと散策して1時間半ほどかかる。清流を貯えた沼は、乳白色に水色の絵具を混ぜたような不思議な色をしている。
水面は、沼の周りの紅葉を映してどこを切り取っても風景画を見るようだが、生憎の曇り空。これが青空なら空の色を映してもっと色鮮やかに見えるのだろう。帰りは混雑が予想されるので早めに帰途に着いた。じっくり観光するにはもう一日欲しかったが、帰りの車中では、楽しかった旅行を振り返ながら、もう来年の旅行先の話題も出て、気の置けない友人との旅行を来年も健康で迎えたいと思った。

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山の上から見た大内宿の茅葺屋根の街並み。

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川沿いの露天風呂、朝風呂に行ったのだが先客はいなくて、ゆっくりと入浴することが出来た。

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浴室の前の中庭は、湯上りの後の前室から眺めることができる。

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朝食、有田焼の器に、地元で採れた食材がさりげなく盛り付けらている。

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湯野上温泉駅、日本で唯一の茅葺屋根の駅舎。

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会津若松、鶴ヶ城、展示会のノボリがあちこちに立てられて観光客で賑わっていた。

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天守閣から白虎隊が討ち死にした飯盛山を望む。想像していたのとは違い、意外にも、一番城に近い低い山だった。

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色鮮やかな紅葉の隙間から弁天沼が見える。

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木陰から見える沼の水の色が不思議な水色をしている。

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紅葉が水面に映って美しい。どこをとっても絵になる景色が続く。
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