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住宅用防災シェルター

2011年03月22日 13:09

 3月11日午後2時46分、非常に大きな地震が起き、縦揺れの後、6分程横揺れが続いた。その時、お客様の事務所で打ち合わせ中、2階建ての鉄骨造の1階事務所が大きく揺れて、間もなく停電になった。
 
 その後のラジオのニュースで、震源は三陸沖で、マグニチュード8.8、今まで経験したことのない大きさと言うことが解った。夜になってTVで見た津波の被害は、想像を絶するものであった。その2日後、追い打ちをかけるように福島原発の爆発事故が発生、原発の安全神話は、もろくも崩れてしまった。それにしても、自然の力の前には人間は、何て無力なのか改めて思い知らされた。

 連日報道される津波による被害は、とても現実に起きた事とは思えない。そして、原発は、次々と連鎖して爆発を起こし、予断を許さない状況だ。毎日、TVのニュースを見ながら被災地の人に対して、何か役に立てないかと考えていた。しかし、今出来る事は、募金と節電、買占めをしないで、節度ある行動をすることくらいかと思ってしまう。
 
 そして、TVのニュースを見ながら、自分の仕事を通して何か役立つ事は出来ないかずっと考えていた。そこへ、建築の設計をする友人から電話があった。彼は、チェルノブイリの原発以後、日本で唯一、カプセル型の核シェルターを設計し、30ユニットを施工した実績があり、その道の第一人者だ。話と言うのは、放射能の被害を防ぐアイデアがあるので一緒に考えないかと言うことだった。その後、連日話あって以下のような概要をまとめた。

シェルター外観

シェルター外観

シェルター内部

シェルター内部は、事務所として使用

シェルター水回り


シェルター内部水回り

シェルターのフィルター


シェルター内部空気清浄機

          住宅用防災シェルターの概要

災害に備えてそれなりの防災性能を持った建物を建設するには、多大なコストが掛かる。しかし、住宅の一部屋を防災用のシェルターとして建設すると、コストを下げることが可能になる。そして、これから提案する住宅用防災システムは、木造の新築住宅を対象としているが、木造以外の鉄骨造や、既存住宅の改装にも応用する事が出来る。

地震による建物の倒壊に対して、建物の一室をスチールで造り、自立できる耐震構造にすることによって、建物の全壊を防ぎ、破損したとしても、建物の一室は安全を確保出来るようにする。火災に対しては、スチールで造られた耐震構造の外側を防火構造で包むことで1時間以上の耐火性能を確保する。

また、放射能の大気汚染に対して、空気浄化装置を設置して室内の空気汚染を防ぐ。同時に、放射線に対しては、構造物をスチールで造り、防火構造にすることで一定の放射線を遮蔽し、気密性を確保することで外気の汚染から守るようにする。

以上は、構造に対する考え方であって、設備の性能を高度に整備することで、長期間生活できるようになる。それには、建物と独立した耐震構造の防災用倉庫を設置し、自家水道や自家発電機を設置することで、自己完結的に長期にわたって生活をすることが出来るようになる。

しかし、防災に対して十分な性能を確保しながら、予備室としてのみ放置して置くのは、住宅の事情から考えても、あまりにも「もったいない」。しかし、寝室や、リビング、防音を必要とする音楽室、外気を清浄化することで花粉症の対策等、色々な用途が考えられる。

そして、空調システムとして地熱利用まで考えると、この部屋の構造は、高い耐震性と共に高い断熱性を備えているので、小さなエネルギーで効率的で、良好な室内環境が確保できる。

最後に、この防災用シェルターは、それぞれの環境に応じたニーズに対して、出来るだけ多くの人に利用して頂けるよう、独自に開発した設備と部材を使用し、合理的な費用で提供出来るようにしたいと思っています。



             住宅用防災シェルターの性能について

防災シェルターの目的

地震、火災、大気汚染から身を守るために建物の一室を耐震、耐火、気密性を有する構造とし、生命の安全を確保するための構造物としてのシェルターを造ることを目的とする。

構造としての基本性能

1-耐震性、地震によって建物が倒壊しても、シェルターとして一室は、構造耐力を持った自立できる構造とする。
2-耐火性、火災に対して一時間以上の耐火性能をもった自立できる構造とする。
3-気密性、放射能等の空気汚染に対して放射線の侵入を防ぎ気密性を保持できる構造とする。
 
設備としての基本性能

要求される設備の程度は、要求される性能によって3タイプを用意する。      

1-地震、放射能汚染等に対する安全を確保しながら一時的な避難を要する場合。

汚染された大気を浄化する装置。
  シャワー設備
  シャワー用の貯水タンク。
  ポータブルトイレ

2-災害により、上下水道の復旧に1,2週間を要する場合。
  
1の設備に加えて以下の設備を備える。
  
キッチンセット
水を使用しないで用が足せるバイオトイレ。
  一時的に電気が使用できる蓄電池。
  飲料水用の貯水タンク。

3-災害に対する安全を確保し、同時に寝室、リビング等居室として使用する場合。

1、2の設備に加えて以下の設備を備える。
  
自立する耐震性能を備えた防災倉庫を建物とは別に建設する。
  自家用井戸の設置。
  自家用発電機の設置。
  オイルタンクの設置。
  地熱を利用した空調設備。
  汚水を放流できる、蒸発式浄化槽の設置。
  
  

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